Twitter活用事例
NPRとUSA TODAY、Twitterスペースで特ダネをつかむ
Twitterはいま起きていること、いま人々が話していることを知るための場所であり、常に更新され続ける「1面」と言えます。かつてBuzzfeedの元編集長Ben Smithさんは、「Twitterは鼓動し続けるニュースの心臓です」と表現しました。
タイムラインを1回下にスクロールするだけで、世界のトップニュースとそれに対する人々のコメントが常に表示されます。これが最近のニュースのチェック方法です。ライブで、リアルタイムで、さまざまな声が集まった情報が入ってきます。その結果ニュースメディアは、革新を続けるテクノロジーやプラットフォームに対して機敏に反応するようになりました。
「現在メディアでは、オーディエンスとの間にある見えない壁を打ち破り、オーディエンスと対話する方法を見つけようとしています」とNPRのエンゲージメント編集者であるMatt Adamsさんは話します。「そうすることで、オーディエンスはニュースがまとまっていく方法をよく理解でき、ジャーナリストはニュースを報道する方法を説明できるようになるのです」
メディアやジャーナリストが使える最新のツールとして、Twitterスペースがあります。NPRやUSA TODAYなどのニュースメディアはこの新しい機能を使って、インタビュー、パネルディスカッション、現場からの特報、さらにはトリビアやクイズなどの楽しい取り組みを行っています。スペースを利用することでホストとゲストは、オーディエンスが簡単にアクセスできるリアルタイムの音声会話を行えます。スペースでは、視聴時間や視聴方法がわかるようにあらかじめスケジュールしたり、その場でニュース速報を始めたりすることもできます。
「この形式には、人々の話に耳を傾けたくなるような親密さがあります」とUSA TODAYのエンゲージメント編集者のFelecia Wellington Radelさんは言います。「ポッドキャストのような他の音声の形式とは異なり、会話の瞬間に居合わせることができるのです」
では、スペースに最適なニュースや話題とはどのようなものでしょうか?Felecia Wellington RadelさんとAdamsさんによると、継続的な会話の機会が重要です。このプラットフォームでは、幅広いオーディエンスと密接につながり、特に質疑応答を行う場合は、エンゲージメントを促進して視点を広げることができます。
「実際、スペースの力はオーディエンスにあります」とAdamsさんは言います。「オーディエンスが言いたいこと、抱いている疑問、考えや意見を観察していくことで、オーディエンスはある意味でニュースの一部になります。私たちはスペースでの会話をデジタルニュースにしたり、会話から新しい情報源を見つけたり、そこでインタビューを実施したりしてきました。この方法で、さまざまな人々のストーリーを継続的に知ることができるのです」。
USA TODAYとNPRはどちらもスペースを使用して、今年前半のDerek Chauvinさんの裁判のような、大きく話題になったできごとを取り上げました。スペースでは報道を複数の角度から捉え、ニュースに対する率直で多様な見方を促すことができました。NPRはMinnesota Public Radioとともに毎週のシリーズを設定しました。このシリーズにより、フォロワーは裁判を担当している現場のジャーナリストから直接定期的に話を聞くことができました。USA TODAYはスペースを使って有色人種のジャーナリストの声を届け、組織内であった会話について語ってもらうことを決めました。
「人種に基づく会話があったことを見逃すことはできません」とWellington Radelさんは言います。「国だけでなく、私たちのニュースメディアのなかでも同様です。そのような会話を公の場で行い、全員に自分の経験について話してもらい、情報を持っている人に参加してもらうにあたり、スペースは絶好の機会になると考えました。Twitterではすでにそのような会話が行われていましたが、スペースの親密さと私たちのフォロワーのTwitterへの知識により、大手報道機関としてそのような会話をすることができました」
スペースの活用法はニュース速報だけではありません。USA TODAYがホストしたスペースのうち、Wellington Radelさんが好んでいる一例として、税金についての会話がありました。専門家がオーディエンスに過去の報道を紹介し、リアルタイムでやり取りをしたのです。
「退屈そうに聞こえるかもしれませんが、間違いなく大成功でした」とRadelさんは話します。「税の専門家を招いて、オーディエンスにただその場で質問するようにお願いしました。パンデミックが発生し、景気刺激策の給付金が実施されたおかげで、多くの人が私たちのQ&Aを訪れました。セッションは非常に長時間に及び、第2回を開催しなければならなかったほどです!」
その会話以降、USA TODAYは暗号通貨やNFTなどのトピックに関する多くのスペースを同じようにホストし、継続的なシリーズ『This Is America』を立ち上げました。このシリーズでは週刊のニュースレターに基づいて、レポーターやその他の注目されているライターが、タイムリーで個人的なエッセイをリアルタイムで読み上げます。
「USA TODAYでは、ほとんどのスペースで安定したエンゲージメントが見られますが、ニュース速報、スポーツ、お金(税金、ビットコイン、パーソナルファイナンス)に関する会話は特に人気があるようです」とWellington Radelさんは言います。「このようなトピックの多くは以前からTwitterで人気がありました。それについてTwitterで新しい方法で話すことに利用者は魅力を感じていると思います」。
NPRはまた、スペースがデジタルコンテンツとプレゼンスをどのように強化できるのかを継続的に検討しています。 Frontlineと協力して医療格差に関するドキュメンタリーと記事を制作すると、NPRは初放送後に会話をさらに深めることを決めました。オーディエンスがドキュメンタリーを観て、製作者やクルーに考えを伝える機会を作ったのです。
「エンゲージメント編集者として、私は常にリンクを共有する以上のことを考えようとしています」とAdamsさんは言います。「オーディエンスとつながるために何ができるでしょうか。私が思うスペースのすばらしい点は、オーディエンスがジャーナリストや情報元から直接話を聞き、リアルタイムで質問できることです。これによって、私たちはより多くのニュースを伝えることができるのです」。
AdamsさんとRadelさんの両名は、スペースについて知り、組織がどのように活用できるかを把握するには、実際に使ってみるのが一番だ、とアドバイスしています。もちろん練習し、概要をまとめ、スペースのテスト配信を行い、資料を準備しておく必要があります。
「他の人のスペースの活用方法を見て、それに刺激を受けるのが大好きです」とAdamsさんは言います。「ある種のリサーチだと思っていますが、単なるリスナーとしても非常に楽しんでいます」
Wellington Radelさんが完璧にまとめてくれました。
「会話なのです!」とRadelは言います。 「スペースは音声のみかもしれませんが、実際に聞くことで親密さを感じます。ですから、より物語的に記事内容を伝えたいとき、ニュース報道を行うとき、みんなをステージに招待してトピックを広げるときなど、話すことができるならスペースを活用できます!」