Twitter活用事例

落書きからコラボへ: @nba_paintはTwitterでどのようにファンを集めたか

2022年NBAシーズンも終盤となった今、大ブレイク中のアカウント@nba_paintを運営しているイラストレーターも一息つけるかと思いきや…そうでもないようです。結局のところ、「このアプリで最も過大評価されている」と自称するアカウントの持ち主は、バスケットボールの試合やニュースに対して、ミーム(拡散されるネタ)になり得そうなシーンやダジャレを棒人間漫画で描いてリアルタイムに反応しているだけではないのです。少なくとも、今では。

 

Paintさん本人は、次のように語っています。「私はいつも落書き魔で、ファンタジーバスケットボール(仮想のチームを運営するゲーム)リーグのグループチャットに参加しています。そのため漫画を描いて、グループチャットに投稿するようになりました。そのうち、以前描いたものを探しても見つけられなくなってしまったため、『Twitterをカタログのように使えたら』と思ったんです。それがきっかけです」

 

Paintさんは自分の絵に登場するNBAチームや選手をよくタグ付けしていましたが、バスケットボールファンのアカウント(特に選手のファンアカウント)に対しても、タグ付けしたり返信したりしていました。Twitterのことがプラットフォームとして個人的に好きで、そのことが(特にスポーツの世界では)会話に大きく関わってくるため、Twitterが自分のコンテンツに自然とフィットすると感じていました。

 

「バスケットボール界で何かが起こると、まずTwitterで話題になります。引用ツイートや写真付きコメント機能は、他のプラットフォームにはない大きな特徴です。ニッチな選手には、かなり熱心なオーディエンスがいます。そのような機能を使ってオーディエンスとやり取りしていたら、たまたま成長したようなものです」とPaintさんは言います。そのとおり、成長したのです。


2020年12月に始まった@nba_paintには、記事公開時点で17万以上のフォロワーがいます。Paintさんは現在、@nhlpaint@nflpaint@mlbpaintという派生アカウントも運営しており、グッズやNFTの販売も始めています。

背景テクスチャ。

オーディエンスが増えてくると、Paintさんは自分のスタイルに少し磨きをかけ(デザインをすっきりさせ、リアルタイムの出来事に合わせる)、マーケティングのバックグラウンドを生かしてエンゲージメントや反応についてトレンドを観察することにしました。

 

Paintさんは次のように言います。「フォロワーが1,000人を超えたあたりから、自分の投稿がトレンド入りする会話に貢献するよう、NBAコミュニティで盛んに話題になっていることに焦点を当てるようになりました。それでも、当時は今のような形になるとは思ってもみませんでしたね」

 

Paintさんは多くのフォロワーを抱えているだけでなく、第56回スーパーボウルや2021年のNBAファイナルなどの際には、Twitter Sportsと提携して複数のテイクオーバーを実施しています。リアルタイムのイベント中に@TwitterSportsアカウントとやり取りすることで、会話のオーガニックさ(有料広告にはない自然さ )が際立ち、両アカウントに多くの会話がもたらされました。nba_paintアカウントはテイクオーバー中に13%のフォロワー増を達成し、ファンと報道期間の両方から多くの会話が生まれました。

 

@TwitterSportsのエディトリアルリード、Giuliana Allegrottiは次のように言います。「クリエイターとのパートナーシップにおける成功とはどのようなものか。その基準がPaintさんによって決まりました。Paintさんは協力的で、陽気で、賢い方です。そして、私たちにとって最も重要なことですが、2021年のNBAプレイオフとファイナルを中心として起こっている会話に非常に近い位置にいたのです。私たちはTwitter Sportsというマイクを使って、(Paintさんが)そのアカウントでやっていることを拡散しました。PaintさんがNBAのTwitterコミュニティで尊敬されていたので、私たちはそのコミュニティに入り込むことができたのです」


全体的な結果として、このパートナーシップでは@TwitterSportsのカスタムヘッダーが6件、リアルタイムコンテンツが10件、さらにカスタムパーカーまでもが限定プレゼントとして制作され、アカウントのファンにとってうれしいサプライズになりました。このパートナーシップの勢いはその後も続き、ファンたちがパーカーを受け取り、開封する様子をタイムラインで共有しました。

背景テクスチャ。

Paintさんは、次のように言います。「Twitterと正式に提携したことは、私にとって驚くべき経験でした。アカウントがどのようなレベルに達しているのか、潜在的にどこまで届く可能性があるのかを示してくれました。自分でも気づかなかった壁を取り除いてくれ、そこからさらに多くのパートナーシップやコラボレーションが生まれました」

 

Paintさんにとって特に重要だったのは、パートナーシップの中でも、自分の作品やオーディエンスに対して誠実だと感じられるコンテンツを作ることでした。Twitterはスーパーボウル開催中もTweetSuiteでnba_paint(もちろんnflpaintも)をホストし、ビッグゲームでのリアルタイムのパートナーシップを実現しました。NFLの公式アカウントが、ヘッダーを同アカウントの作品を取り上げたものに変更したほどです。

 

Paintさんは言います。「クライアントとコンテンツクリエイターの一般的な関係は、投稿を1つか2つ作成するために雇われるだけ、というようにかなり浅いものになることがあります。そのため、会話が活発ではないように見えてしまうこともあります。自然に感じられる会話にすることが重要です」

 

Allegrottiも、パートナーシップの適切な形を見いだすこと、そして結果をコミュニティのリアクションで見ることについて、同様の考えを述べています。

 

「キャンペーンを実施する中で特に印象に残っているのは、それがいかにポジティブに受け取られたか、ということです。私たちは@TwitterSportsで多くのことを行っていますが、『すごい!これ大好き!』というリアクションばかりになるということはまずありません。しかし、@nba_paintとのコラボのときはそうなったのです。私たちはコミュニティから愛される人物を見つけ、楽しくユニークなやり方でTwitterの力を使ってその人を後押ししました。その後、同じようなやり方がタイムライン上で何度も繰り返されることになりました」

 

Paintさんにとっては、どのようなパートナーシップが理想的だと思われますか?

 

「私の最大の夢は、NBAと提携することです。直接協力して、何かをやってみたいと考えています。ジャージのデザインは夢のような目標ですし、スニーカーのデザインも、大きなスポーツブランドと協力してできれば最高です」

 

そんなビッグネームを視野に入れながらも、自分の将来を考えるときには、やはりアーティストであることに変わりありません。

 

「自分が大した人物だなんて思っていません。アイデアを思いついて、それがちょうどいいものだと一番楽しいですし、すぐに作り上げることができます。私のことを現実世界で実際に知っている人たちが見てくれて、反応してもらえるような作品を一番誇らしく感じます。母が面白いと言ってくれようものなら、金星を挙げたような気分になります」

 

Paintさんの成功を測る基準は、母親だけではなく、自分の作品を楽しんでくれている人たちからの声です。自分の作品を友だちや家族と共有してくれるファンからコメントやメッセージを受け取ることが、Paintさんの喜びなのです。そして、そのような誠実なやり取りは、Paintさんが投稿するコンテンツを楽しんで作っているからこそ起こります。

 

「コンテンツ制作や発信に関する私からの最大のアドバイスは、とても陳腐で安っぽく聞こえるかもしれませんが、とにかく自分自身に正直になることです。みんなが気に入ってくれそうだいう考えだけで、自分自身にとってはそれほど思い入れのないコンテンツを作る気にはならないはずです。数週間や数か月は楽しいかもしれませんが、好きでもないコンテンツを作るというサイクルに陥り、ただの仕事のように感じられてしまうでしょう」

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