Twitter活用事例

Twitterでナンバー「ワン」の成功を収めた犬の格付けアカウント

Twitterは #TheCreatorSessions(クリエイターセッション)の一環として、WeRateDogsThoughts of Dogを立ち上げたMatt Nelsonさんに、愛すべき犬たちのことをツイートしてビジネスを築き上げたお話を伺いました。

 

かわいい動物がたくさんのエンゲージメントを獲得できることは、ネットの常識です。バイラル(情報の拡散)やミーム(話題やネタ)が出現し始めたころから、モフモフした動物たちは主役の座に君臨してきました(「I Can Haz Cheezburger」(動物のミームを紹介するブログ形式のウェブサイト)が流行っていた頃を思い出してください)。WeRateDogsThoughts of Dogsでも、それは同じです。

 

しかし、このようなアカウントとその作成者のMatt Nelsonさん(@dogfather)が一味違っているのは、そのユニークな語り口とコミカルな視点がコミュニティを生み、支持を集め、収益につながっていったという点です。当初からNelsonさんは、朝食のメニューをツイートするタイプのユーザーではありませんでした(もちろん、朝食のメニューをツイートするのもすてきなことです)。

背景テクスチャ。

「みんなを笑わせたかったんです」とNelsonさんは言います。「コメディ全般と、創作活動に使われているプラットフォームに興味がありました。私が利用しようと思ったのはTwitterでした。そしてだんだんと自分に合ったスタイルと語り口を確立していきました」

 

個人のアカウントで、他のコンテンツよりも愛犬に関するツイートのエンゲージメントが高いことに気付いたNelsonさんは、本人いわく「暇を持て余した」大学1年生だった2015年にWeRateDogsのアカウントを作成しました。

 

「最初の日には、歩き回って犬の写真を撮り、キャプションを付けて評価することを考えました。ですが初めて犬の写真を投稿した後、みんながアカウントをタグ付けしたり、DMを使ったりして、自分の犬の写真を送ってくれました。『この方がずっといい』と思いました。最初からコミュニティを盛り上げることができるし、際限なくコンテンツが流れてくるからです。それに、自分でただ歩き回って撮るよりもずっとすてきな写真が届きます」

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Nelsonさんの個人アカウントには多くのフォロワーがいました。そのため初めのうちは、そのアカウントで新しいプロジェクトのマーケティングを行い、最初の1週間でWeRateDogsのフォロワー数10万人を達成しました。Nelsonさんはアカウントの成功と、受け取ったDMの数に少し圧倒されたため、プロジェクトのためのビジネス用メールアドレスも作成しました。それから1か月も経たないうちにNew York Magazineから電話があり、目の前にチャンスが広がり始めました。

 

「よく聞かれる質問は、どうしたら仕事になるのか、ツイートでどうやってお金を稼ぐのかということです。2016年に人気のある投稿を使ったステッカーを作り始めました。私たちにとっては手軽な試みで、オーディエンスにとっては少額の支払いです。値段は3ドル程度、送料込みで4ドル程度でした。この試みによって、収益化という点でどんなことができるか、オーディエンスがグッズ販売一般を支持するかどうかを事前に確認できました」

 

ステッカーはその後、帽子やパーカー、そしてeコマースストアの立ち上げへとつながりました。それから本やカレンダーの出版契約に至りました。Nelsonさんは「グッズ販売が成功し、オーディエンスが増加したことで、成長を続ける自分のブランドのために時間をフルに投資する自信を得た」と話します。

 

「WeRateDogsを運営する過程でとてもうまくいっているのは、アナリティクスを理解し、成果を測定することです。最初のツイートが3分間で100いいねを獲得したときのことをよく覚えています。それまで何年もの間、個人アカウントでは達成できなかったことなので、記念すべき瞬間でした。アカウントが成長するにつれて目標数値は変わっていきましたが、うまくいっているもの、反応を得ているものを把握することが重要です。そして、アナリティクスとオーディエンスのフィードバックを活用して、アカウントが完璧になるよう磨きをかけるのです」

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また、パートナー企業との提携も重要です。WeRateDogsのミッションステートメントの中に、「犬たちのストーリーを共有し、その暮らしを改善し、私たちを最も必要としている存在を助けることで、いい犬たち(つまりすべての犬)を祝福する」という目標があります。この目標を達成するために、犬のケアブランドとの提携や獣医療のためのGoFundMeとの提携は不可欠な要素です。

 

「2017年の最初の金曜日から、毎週金曜日にGoFundMeについて1件投稿することを決めました。その一貫性と、目標値が上がっていくのを見るというゲーム性がオーディエンスを引きつけました。私たちのオーディエンスは支援を行うチャンスを待ち望んでいたので、積極的に受け入れてくれました。こんなに熱心なコミュニティをどうやって育てることができたのかはわかりませんが、願ってもないことです」

 

Nelsonさんによると、現在GoFundMeキャンペーンは数分間で平均して6,000~8,000ドルの資金を獲得しており、これは犬の手術や治療の支援にあてられます。さらに、最近15/10 Foundationという財団を立ち上げました。犬の行動上または医療上のニーズが原因で、迎え入れてくれる家を見つけるのが困難な場合があるのですが、この財団はそのような犬のために資金援助を行っています。コンテンツの主人公である犬を大切にするためのこのような取り組みが、犬の保険会社「Trupanion」や、栄養を重視したドッグフード「Just Food for Dogs」といったブランドとの長期的な提携につながりました。

 

「インフルエンサーとのパートナーシップには成功も失敗もあると思いますが、オーディエンスの関心が離れなければうまくいくことがわかっています。投稿を作り上げていくのは、ツイートにコメントしてくれるコミュニティだからです。私はコンテンツに対して常に分析的なアプローチをとっており、それがブランドと話をするときに役立ってきました。『貴社はこれだけのインプレッションを獲得しました』とブランドに報告し、ビジネスにとってどんな意味があるのかを理解してもらうことができます」

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ビジネスではなく、遊びから始まることももあります。NelsonさんとHozierさんの連携がその例です。

 

「Hozierさんが自身のアルバム『Wasteland, Baby!』をプロモーションするため、TwitterでQ&Aを実施していました。すると、誰かから飼い犬を格付けしてほしいと求められ、11/10と評価したのです。私はコメントすることにして、『そうだなあ、僕は12/10にするよ』と書きました。彼はそれを引用ツイートし、『@dog_ratesから正式に格付けしてもらいました。これで決まりです』と書きました。このやり取りは、1週間にわたるアルバムのプロモーションのなかで最も多くのエンゲージメントを獲得しました。その数分後、彼のレーベルから『一緒に何かできないかな?』という趣旨の連絡があり、実際にそうなりました。このようなやり取りは、他のプラットフォームでは生まれなかったでしょう」

 

アカウントが成長を続けるにつれて、Nelsonさんは心身の疲労に対処し、日々のタスクの分散方法を考える必要もありました。現在彼のチームにはストラテジストとライターがいます。そしてもちろん、新しいCEOである11歳のジャーマンシェパード「Doug」もチームの一員です。

 

「初めの頃、一定程度の管理を他の人に任せて効率化することはとても勉強になりました。今もあまり得意ではありませんが、運営を円滑に進め、過度な疲労を防ぐためには必要なことです。人に任せることで、苦手なことを無理してやらずに済み、クリエイティブなことに集中できるようになりました」

 

この「ワン」ダフルでかわいらしいアカウントたちには、どんな未来が待っているのでしょうか?Nelsonさんは、パンデミック後の世界で自身のブランドを現実世界に展開したいと考えています。

 

「ドッグサーフィン大会やRoyal Caninナショナルドッグショーなどのイベントに招待していただき、とても楽しい体験をしました。ですが、今度は主催側として皆さんを招きたいと思っています。幸運にも、すてきなイベントの実現をサポートしてくれるすばらしいパートナーたちが見つかっています。犬を連れて参加し、みんなで楽しめるイベントを開催するのを心待ちにしています。特に、ここ数年そのようなことができませんでしたからね」

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