オピニオン | 注目の人

注目の人: Tess Gattuso

クリエイターは、拡散力のあるトレンドやインパクトのあるリアルタイムでの盛り上がりについて時代を先取りしており、世界中のオーディエンスの共感を呼ぶ有意義なつながりを生み出しています。「注目の人」では、Twitterでもひときわ輝く優れたクリエイターを紹介しています。今回は、コメディアン、ライター、ミーム研究者のTess Gattusoさんに、自身が時間を投資している領域のコンテンツ制作、メディアミックスコンテンツ、そしてメンタルヘルスを優先することについてお話しいただきました。

 

私はスピーディーでユーモアがあり、思いやりのある性格です。もちろん、私が作るコンテンツもスピーディーでユーモアと思いやりがこもっています。私は自分の活動をメディアミックスコメディと呼んでいます。この言葉自体はまだ確立されたものではなく、話題にのぼることもありません。ただ、一言ジョークやミーム(拡散されるネタ)、動画、キャラクター、スケッチ、一人芝居、即興演奏、書き言葉による会話など、私と同じメディアミックス活動を行っている友人はたくさんいます。物事のデジタル化が進むなか、デジタルプラットフォームは誰でも自由に参加できるステージのようになっていくと考えています。自分専用のデジタルプラットフォームを持っている場合を除けば、世界中のあらゆる年齢の人がオーディエンスになります。

背景テクスチャ。

コンテンツ制作を始めたころはまったく戦略がありませんでした。最初はただミームに夢中でした。自然と好きになったのです。楽器の演奏が好きな人が、楽器を演奏したいという以外に特に理由はないのと同じです。私はただ、自分を楽しませてくれるミームの世界に没頭したかっただけなのです。インターネット上で何年も活動しながら、政治とインターセクショナルフェミニズムの勉強にいそしみました。私が制作するコンテンツではこのようなテーマを取り扱っています。

 

インターネットは、私だけの声を届けられる場所です。若い世代が発信するミームやデジタルコンテンツにつながることができます。デジタル空間こそ自分の居場所であり、愛する人たちがいる場所だと感じています。現実世界では多くの人がセンシティブな問題を避けて通りますが、インターネット上ではトラウマや現実の暗い側面についてジョークを言っています。ただ試してみて、何が起こるか観察できるのです。

背景テクスチャ。

デジタルコンテンツの制作を始めるまでは、コメディショーを上演したり、何がうまくいくかを確認するために延々と書き物をしたり、ReductressなどのWebサイトに寄稿したりしていました。このような活動はすべて、うまくいくこととそうでないことを確認するための練習でした。ヒットするものとそうでないものをここから学んだのです。コメディだけでなく、ニュースを読むことにも常に時間をかけてきました。世界の出来事をテーマにした台本を書く際は、すでに内容に精通しているため調査に長い時間をかける必要はありません。

 

私個人のプラットフォームでは必ず本音を語るようにしています。ブランドと提携したフリーランスの仕事も行っていますが、自分の活動の糧となる仕事を選ぶことにしています。これまでのところはうまくいっており、自分自身の成長につながっています。最終的には人権、尊厳、敬意を擁護し、このような話題が誰にとっても恐ろしくないものにしたいと考えています。私の発言はこれまで以上に共感を得ているようなので、これからも自分らしい発信をしていきたいと思います。

 

Twitterの特に好きなところは、コンテンツ制作を短時間で効率的に行え、それが急速に拡散する点です。そもそも自分ではコンテンツ拡散していることに気付きません。利用者がテキストメッセージやメールで友人に送ったり、仲間と共有したりするからです。DMや利用者が共有している逸話を通じて知ることになるのです。私のコンテンツの多くはさまざまな言語で共有されるため、Google翻訳を使って利用者の声に耳を傾けるようにしています。海外の方々まで届いているのはとても嬉しいことです。

 

出会う前から深く尊敬していたアーティストやジャーナリスト、活動家とも、強く偽りのない友情を育んでいます。Twitterでは本当にたくさんの友人と出会うことができました。私に興味を示してくれる人は共通して、特にアイデンティティや性的マイノリティであることについて強い興味を持っている傾向にあります。「どうやって知り合いを作ったの?」と訊かれたら、必ずTwitterのことを話します。現実世界ではできないやり方でみんなが話しているので、Twitterは誰かと出会ううえで絶好の場所です。特に親しくしているのは、多大なサポートをしてくれている活動家のJordan Uhlさん、そしてすばらしいコメディアンであるRobin Tranさんの2人です。

背景テクスチャ。

私がバズった瞬間は、フォロワー数が600人に到達したころ、ゲイの親友の動画を投稿した時でした。一夜にしてフォロワー数が12,000人に達しました。きっかけはたった1本の動画です。その時点で私は戦略など何も考えていないような状態でした。でも注目に値するコンテンツを投稿すれば、みんながそれを共有してくれるのだと思います。私がコンテンツを投稿するということは、私の長い文章がどのようなものかをみんなに紹介するということです。私は脚本を書きますが、コンテンツを気に入ってもらえるなら、それよりも質の高い脚本もきっと気に入ってもらえるはずです。投稿するたびに自問していることがあります。それは、「これは私の本音なのか?年を取ってもこの気持ちは変わらないか?」ということです。一度投稿してしまえば、それは長い間そこに残るからです。

 

一方で、自粛期間中にメンタルヘルスを優先することを身に付ける必要がありました。メンタルヘルスはコンテンツのスケジュールや成長計画よりも重要なことです。私は毎日投稿しているように思われていますが、実際にはしていません。投稿の影響力が大きいのでそう思われているのでしょう。話題になるコンテンツを投稿するために燃え尽きてしまう必要はないと思います。

 

私がコンテンツを作るのは、好きなことだからです。コンテンツを作りたいならば、それが私のおすすめです。好きだからやるのです。私が動画を作成するのは義務だからではありません。動画のアイデアがあって、それが今やりたいことだから作っているのです。私にとっては楽しいことですが、みんなは傷つくことを恐れているのでしょう。しかし、傷つくことで強くなれるのです。もしあなたがアーティストで、オーディエンスを獲得する活動を行いたいと思っているなら、傷つく覚悟が必要です。なんとも思わなくなるまで耐えられれば、その先に自由が待っています。自分でコントロールできないことはたくさんあるので、注目されなくても落ち込まないでください。コンテンツが悪かったのではなく、運がなかっただけなのですから。

注目のコレクション

注目の人

注目の人」コレクションでは、他にもTwitterでひときわ輝く優れたクリエイターを紹介しています。