Q&A | Twitterを語る

Twitterを語る: SentinelsのDom Gardnerさん

月に一度の「Twitterを語る」では、Twitterで際立ったツイートをしたり、大きな話題を集めたりした特に興味深いアカウントやソーシャルメディアのプロフェッショナルと、その舞台裏に迫ります。今月は、Sentinelsのソーシャルメディア管理者であるDom Gardnerさんに、悪役を演じることや特徴的なブランドボイスの作り方についてお話しいただきました。

 

ご自身について簡単に教えてください。@Sentinelsにフォロワーが集まる理由は何でしょうか?
私たちのブランドボイスは、どことなく横柄で迫力のある響きがあります。ランチのテーブルでいつも嫌味っぽい発言をしたり、鋭い突っ込みを入れてきたりする子どもみたいな感じで、いじめっ子というわけではなく、あくまで自分の意見を持っているキャラクターです。たとえばValorantで自分たちを悪役に仕立てたのは、eスポーツをやる人はたいていヒーローになりたがっているように感じたからです。そこで私たちは「全員が仲良くやろうとしている状況で、その逆の道を行くのはどれくらい簡単だろうか」と考えました。これは人によって好き嫌いが分かれます。


私がSentinelsに加わった頃、北米最強のValorantチームということで、プレイヤーたちの人気はすでに絶大でした。私たちの仕事は、プレイヤーが得るエンゲージメントを最大化する方法を見いだし、ブランドを確立する手助けをすることです。たとえばShahZaMがリーダーなら、同選手が作戦の主導権を握っているというストーリー展開に合わせてどのようなメディアを用意すればいいか、といったことです。

背景テクスチャ。

2022年において、ソーシャルメディア管理者はどうあるべきでしょうか?
(ソーシャルメディア管理者は)あらゆる場面で情報収集能力が求められます。ソーシャルリスニングは常に最重要課題です。対象となるさまざまなコミュニティとの関係を調整し、その中で自分のブランドの位置づけを理解することが仕事です。私にとって、ソーシャルメディア管理者とは、経営陣が自社ブランドに求めるものと、ファンが応援するブランドに対して求めるものを橋渡しする存在です。両者の間に立って、誰もが満足する方法を見つけなければなりません。つまり現代のインタビュアー、ニュース司会者、動画プロデューサーであり、それらすべてを統合した仕事なのです。

 


ソーシャルメディアに携わってどのくらいになりますか?その間、業界はどのように変わりましたか?
eスポーツに携わる前の私は、Twitterにミームを投稿するのが趣味のありふれた利用者でした。League of Legendsのコミュニティには熱心に参加していましたね。2015年から2016年くらいの時期にトッププレイヤーの知り合いがたくさんできて、2017年頃から本格的にeスポーツの仕事を始めました。

 

友人から、あなたはTwitterで会話を生み出す方法をわかっている、と言われたことがあります。その女性は「いつもミームを投稿してるよね。どうすれば周りの反応を得られるかわかっているでしょう。どうせならお金をもらってやってみてもいいんじゃない?」と言ってMisfits Gamingで働いている人を何人か紹介してくれました。そこでの試用期間がちょうど世界選手権に出場する直前の、チームにとってまさに正念場という時期だったので、とにかく必死でした。その後、チームがOverwatch Leagueに参加したので、Florida Mayhemを私が担当し、さらにCall of Duty Leagueにも参加したのでMutineersも私が運営していました。

 

(業界は)最近、確実に変化しました。より身近に感じられるようになり、eスポーツの間口が大きく広がった気がします。私たちは、たとえばメンタルヘルスの認知度向上など、少し扱いにくい話題についても遠慮なく話します。このような問題は私たちやゲームコミュニティにとっても、世間一般においても極めて重要です。今はeスポーツ界もこのような話題を快く受け入れ、関連する情報を共有しやすくなっているように感じます。

 

最初のころ、(eスポーツは)従来のスポーツが(ソーシャルメディアで)やっていることをただ真似しようとしているだけのように思えました。しかし今では自分たちを別のものとして考えられるようになり、おかげでオーディエンスとのつながりも多少深まりました。

 

Twitterとの関係についてお話しいただけますか?
個人的に、私自身のTwitterは、事実上Sentinelsの投稿をリツイートするタイムラインとして使っています。人の目に触れるのは出来上がった部分だけなので、最終的な成果に至るまでの苦労、かかった時間、手直しの過程などを知ってほしいのです。少し時間を取り、実際に物事に取り組んだ人たちをタグ付けして、チームの功績に対する称賛を再分配することが重要だと思います。

 

ブランドの場合、私たちが成功と考えるツイートの基準は、10,000件くらいのいいねが付くことです。それ以下は失敗と判断します。ですから、個々のツイートを分析し、世界中のどのブランドが私たちの心に響くメッセージを発しているか、そのファンはどのように反応しているか、何が私たちのフォロワーに伝わるかなど、いろんなことを分析しています。その思考過程は常に、1万いいねを達成するには何が必要かということに始まり、もし達成できなければその理由を考えます。私たちは常にブランドを中心に考え、私たちのしていることすべてに一貫性を持たせたいと思っています。なぜなら、皆さんが私たちのアカウントをスクロールして、その時々のチームの状況を正確に把握できるようにしたいからです。

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Twitterの機能の中で特に過小評価されているものは何ですか?
複数のアカウントをとても簡単に切り替えられるところが気に入っています。モバイルで自分のプロフィール画像をクリックするだけで担当しているすべてのアカウントを表示でき、それがたった2秒で済みます。ログアウトしてまたログインし直したり、2要素認証を挟んだりする必要もありません。

 

では、もしも願いが叶うなら、編集ボタン以外でTwitterにどんな機能がほしいですか?
Twitterに投稿した動画に自分のサムネイルをネイティブに追加できたり、動画内のシーンからサムネイルを選べたりするといいですね。

 

Twitterでは会話が非常に重要です。どの会話や返信に対して関わるのか、どのように決めていますか?
私たちが会話に関わる際は、より多くの人たちに開かれるようになるか、または何かしらの価値を与えるか、のどちらかが重要です。たとえば、私たちが別のチーム同士の冷やかし合いに関わると会話の勢いがなくなってしまうかもしれません。つい最近のValorant Champions Tourの時も、他チームが勝ちそうな時はすべての投稿を保留しておくという戦略で臨みました。どこで勢いを持たせ、どこで相手を出し抜くかには明確なバランスがあります。

簡単な質問と回答

親しみを込めて他のアカウントを茶化すことはありますか?
はい。

複数のハッシュタグを付けることはありますか?
いいえ、ハッシュタグを付けないこともあります。

言葉を絵文字で代用することはありますか?
1、2個ならありますが、それ以上はやりすぎかなと思います。

背景テクスチャ。

Twitterアカウントの担当者として、さまざまな役割をどのように優先順位付けしていますか?
私たちが一番重視しているのは、常に最新の情報を入手することです。ソーシャルメディアは常時稼働のようなもので、1日か2日分くらいのニュースを見逃すだけで大きく後れをとってしまうからです。その瞬間を逃したとなるとコミュニティはかなり容赦ありません。あまりに遅すぎると、どれだけ遅かったかをすぐに指摘されますから。そういうわけで可能な限り最新の情報を提供しなければなりません。45秒前に起きたことなら、20秒以内に反応する必要があります。

 

自分が関わりたかったと思うほど秀逸なツイートを教えてください。
私が加わる前のSentinelsのアカウントによる投稿です。その頃流行っていたマイク・ワゾウスキとブー(『モンスターズ・インク』のキャラクター)のミームで、マイクが小さく叫んでいるような表情をしていて、ブーが物陰で怯えているという場面です。Valorantのマップの中に似たような部分があったので、以前のSentinelのソーシャル担当者がミームに加工しました。それがかなり評判になったので、Riot(訳注: Valorantを開発・販売している企業)がその場面を使ってプレイヤーバナーを作り、ゲームに取り入れたくらいです。このような制作プロセスに参加できていたら、すごくクールだったでしょうね。

 

現在フォローすべきアカウントを教えてください。
eスポーツでは、G2 Esportsが断然お勧めです。私の中でナンバーワンとは言えないまでも、ナンバーツーであることは確かです。Cloud9も私の中では上位です。もちろん私が以前担当していたチームであるMisfits MayhemやMutineersもです。私が移ってからどう進化したかを見るのが好きです。


eスポーツ以外ではJess Smithさんがいます。Jessさんは伝統的なスポーツメディアを調べ上げ、ホッケー、フットボール、バスケットボール、カレッジフットボール、カレッジバスケットボールのあらゆるチームを分析し、そのようなチームがさまざまなプラットフォーム上で作っているコンテンツについて考察しています。Jessさんは、なぜそれが効果的なのかについて、自分の考えを述べるのです。私は他のスポーツチームにはあまり関心を払っていないので、「この野球チームはこんなに良いコンテンツを出していて、オーディエンスにこういうインパクトがあったのか」とわかるのがいいですね。同じセンチメントやクリエイティブスタイルを生み出すにはどうしたらよいか考えるきっかけになります。

背景テクスチャ。

また、Discordが、一部のツイートをふとした思いつきのように感じさせるように工夫しているのも気に入っています。これと同じことを実現するためにやったのが、句読点を使わず、小文字だけでツイートすることです。そうすることで、このようなツイートが真面目なものでないことをわかってもらいたいのです。風刺のようなもので、深く考えずに笑い飛ばして次に進みましょう、という意味です。しかし、大文字の使い方や句読点など、すべてがちゃんとしているツイートは、より有益で真剣な内容であるはずです。遊び心のあるトーンと、より真剣と受け止められるトーンは別物です。

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